2012/05/13

vol.3寄稿者紹介05(池本良介さん)

私がひっそりと自身のホームページを開設したのは、1999年12月01日。すでに化石状態でコンテンツのブログ移行も遅々として進まず、プロバイダ変更を検討しているいまでは存続も危くなっていますが、それはともかく、池本良介さん(いや、ハンドルネームの「B(中略)66」さんのほうがいまだにしっくりくる)とは、そこに書いたPrefab Sproutについての雑文で知り合いました。個人的にはネットが普及して人との縁が劇的に変わったことを象徴するような出会いでありまして、そんなことを書いてみたくて小誌vol.1掲載の拙作「チャイムは誰が」...って、それもともかく。

いったい日本語を読み書きに使う人のうち何名がプリファブ・スプラウトを知っているのかわかりませんが、B66さんは私にとって数少ない、「あ〜、オレと同じように好きなんだなぁ」と思える人物。もちろん「好きになりかた」は全然違っていて、その差違がまた話をすると楽しさでもあるわけですが、それはともかく、私は小誌刊行時から「いつかB66さんにプリファブについて書いてもらいたい」と思っていましたので、今回それが実現できてとっても嬉しい。極私的であまり一般的でないアルファベットの固有名詞が縦横無尽なのも、痛快でした!

世の中にはもっと平易に「プリファブ・スプラウトの魅力」を伝える文章がありそうだな。でも小誌掲載作品「B e a r p a r k 〜Prefab Sprout と私」は、このバンドを本気で好きになってしまった個人の、他の人には書けない物語。もちろん作者は間口を広めにとって、より多くの読者をプリファブ・ワールドに導こうとしてくれたのですが、それでもまだ、敷居が高く感じる人もいる!? そんな人には、不肖私がB66さんになりかわって毒吐きましょう。「世の中には“多少の研鑽”を積まねばわからぬ美しさがあるんだ!」...あっ、私、間違ってますか? 池本良介さん!


デモでも絶品という例の一つに、シングル〝Nightingales〟(88)に収録された〝Bearpark(4track)〟がある。Paddy 自身の解説によると、4tr カセットMTRでリズムマシーンDr. Rhythm を使って録った初めての録音で、とてもラフなもの……とある。確かに隙間だらけのごく簡素なアレンジだが、シンセサイザーの音色、ごく小音量のギター、それらの残響、そしてPaddy の声が極上の調和を見せる。どこか密室的な響きは、作者の中だけにある極めてプライベートな記憶を思わせもする。当初は〝Bearpark,you're mine〟という冒頭の歌詞を「熊牧場、お前は俺のもの」と解釈して一人困惑していたが、Bearparkとは北海道のそれの様な施設名ではなく、パディの故郷イギリス・ダラム州の一地区名だと知った。Georgia On My Mind よろしくBearpark's on my mind な訳だ。故郷を歌う点は共通でも、Prefab のそれは何と抑えの効いた詩情か。幼年・少年期の薄明の中の記憶を、ノスタルジーに溺れることなく慈しむような、静かな詩情が揺らぐ。YouTube の同曲のコメント欄には、「長年のファンなのに初めて聴いた」という旨の複数の書き込みに加え、この曲こそがフェイバリットだとの言も。

Witchenkare vol.3「B e a r p a r k 〜Prefab Sprout と私」(P036〜P043)より引用/写真:徳吉久
http://yoichijerry.tumblr.com/post/22651920579/witchenkare-vol-3-20120508

Vol.9 Coming! 20180401

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