2013/06/18

武田徹さんと仲俣暁生さんの対談に寄せて

今週金曜日、下北沢の書店「B&B」にて小誌寄稿者の武田徹さんと仲俣暁生さんの、オープンな場では初めての対談がおこなわれます。発行人、そしてイベントの「言い出しっぺ」として、私(多田洋一)の立ち位置を記してみたいと思います。

私は「書く仕事」に短くもなく携わってきましたが、武田さん、仲俣さんのように署名原稿で自身の考えを述べたことはほとんどなく、スタッフライティングや構成/編集、フィクション的分野で活動してきました。...そもそも「考えを文字にする」というところで躓く人間なので、書き手としてこれまで任されてきた役割は結果的に合っていたような気がしていますが...って、もう躓いてますね、自分。とっ散らからないよう、議題を絞ります。

原子力に関して。私は「それは人間が手を出してはいけないものだった」と思います。でも「禁断に手を出してきたのが人間の歴史だろう」とも。具体的に「原発どうする?」「エネルギー問題は?」「デモ参加しないの?」...過去2回、自分のなかに溜まった思いを文字にしています。1回は当ブログの「電気の武者から」という記事。もう1回は小誌第3号に発表した「きれいごとで語るには」という小説として(文字にしても現実的にはなにも解決できていませんが)。

躓くと、自分がなにに引っ掛かっているのかを知りたくて、つねに「この人はどう考えているのだろう?」と思い浮かべる方の署名原稿を読み続けてきました。武田さん、仲俣さんとも、私にとってはずっとそのような存在の書き手です。タイムリーにおふたりの文章を読むと、同意する/しないに関わらず、いつも「俺はそこに引っ掛かっているのか」と思い知らされる...。読後、すぐに「俺もそう思う」、あるいは受け売りで「俺はこう思う」にならないよう留意するのは、同じ書き手としての意地なのかもしれません(敢えて私が書かなくても、もうきちんと論点が整理されている...うっ!)。

私にとって「この人はどう考えているのだろう?」「この人はなにを思い描いているのだろう?」という存在の方に寄稿依頼して纏めた誌がウィッチンケアです。そして(この「そして」は少しヘン!?)小誌は、あくまでメディア(媒体/媒介)として機能すればいいと思っています。たとえば、新しい号が発行されたことがきっかけとなって誰かと誰かが出会ったり、話がはずんだり、新たな思いが芽生えたり。小誌という「場」があったので、ということがひとつでもあれば、発行人として本懐。

今回のおふたりの対談は、書き言葉が語り言葉になったウィッチンケアだと私は思っています。拙くて不躾な出演依頼を快く引き受けてくださった武田徹さん、仲俣暁生さんに感謝致します。また昨年の夏以来小誌をお取り扱いいただき、イベントの機会を提供してくださったB&Bさんにも、心より御礼申し上げます!!

多くの〝読者〟(Live Ver.)にご参加いただければ、嬉しい限りです!

【イベント概要】
タイトル:「“答え”が出なくても、とことん語ってみる!」
     〜ノンフィクションの書き手として、いま言葉にしたい幾つかの事柄〜
登 壇 者 :武田徹 仲俣暁生
開催日時:2013年6月21日(金曜日) 20:00〜22:00(19:30開場)
開催場所:書店「B&B」
     〒155-0031 東京都世田谷区北沢2-12-4 tel 03-6450-8272
     http://www.facebook.com/bookandbeer

※参加のお申し込み/より詳しい情報は下記URLをご参照ください!
http://bookandbeer.com/blog/event/20130621_takenaka/

武田徹(たけだ・とおる)
ジャーナリスト・評論家・恵泉女学園大学人間社会学部人間環境学科教授。著書に『私たちはなぜ原発大国を選んだのか』(中央公論新社)、『原発報道とメディア』(講談社)、『殺して忘れる社会』(河出書房新社)、『流行人類学クロニクル』(日経BP社。サントリー学芸賞受賞)などがある。東京大学先端科学技術センター特任教授(ジャーナリスト養成プログラム)を務め、07年より現職。
<小誌寄稿作品>

終わりから始まりまで。」「お茶ノ水と前衛」「木蓮の花

仲俣暁生(なかまた・あきお)
1964年生まれ。東京都出身。フリー編集者、文筆家。『ワイアード日本版』、『季刊・本とコンピュータ』などの編集者を経て、現在はウェブサイト『マガジン航』編集人(発行:ボイジャー)。このほか『文化系トークラジオLife』のサブパーソナリティなども務める。著作に『再起動せよと雑誌はいう』(京阪神エルマガジン社)、『極西文学論 Westway to the World』(晶文社)、『〈ことば〉の仕事』(原書房)、編著に『編集進化論』(フィルムアート社)など多数。
<小誌寄稿作品>
父という謎」「国破れて

Vol.14 Coming! 20240401

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