2017/05/09

vol.8寄稿者&作品紹介09 武田砂鉄さん

武田砂鉄さんの今号への寄稿作は、再びクリーク・ホールディングスの漆原良彦さんへのインタビュー。表題には「2」とか「続」とかいった言葉もなく、前号とまったく同じ「クリーク・ホールディングス 漆原良彦CEOインタビュー」でして、個人的には大好きなピーター・ガブリエルが1st〜4thまで「peter gabriel」としか表記しないアルバムをリリースしたような〝スタイリッシュな不親切さ〟にぐっときました(どんな曲を演ってもオレはオレ、みたいな唯我独尊さがこの創業オーナーのキャラと似てるのかも!?)。

<真剣に読めば読むほど謎が深まる箇所、多々あり>...これは私の前号掲載作を紹介した文での一節ですが、さて今作、謎はますます増え、しかもあいかわらず全然解決の糸口すらつかめない、っていうか糸をぷちぷち切られていくような読後感。それでも漆原さんのもの言いは、より開かれてきている印象もあります。自身のビジネス哲学をもとに、トランプ政権へも言及したり。ついさきほどエマニュエル・マクロン大統領が誕生したようですが、ぜひ漆原さんに、EU情勢の今後についてもご意見伺ってみたいところです。

そもそも漆原さん率いるクリーク・ホールディングスは、いかなる事業を展開中なのか? <筆者>と名乗るインタビュアーはCEOとの付き合いの長さ、忘れがたいエピソードなどは語ってくれるのですが、肝心なビジネスの実態についてはちっとも絵解きしてくれず...あっ、でも今作での<筆者>は、それなりに果敢に切り込んで漆原さんの感情を揺さぶってもいます。<そういう緩慢な問いを投げかけられるとは思わなかった。極めて残念に思います>とまで言わせたりして。漆原さんが<筆者>のどんな言葉に反応したのか、ぜひ小誌を手にとってお確かめください!

困惑しつつ、それでもじょじょに漆原さんのペースに呑まれていく自分がちょっと怖い&心地好かったり。この人の言説がわからないこちら側が至らないのでは、と不安を抱かせるのは漆原さんのカリスマ性ゆえ!? そして、その漆原さんキャラを緻密に構築している筆者(=作者/武田砂鉄さん)のアメイジング・ライティング・クリエイティヴィティを、ぜひみなさまご堪能ください!



──そこにある真実がファクト、状況を見て作り上げるのがトゥルースということでしょうか。
漆「そう、さすが長い付き合いだけあるな(笑)。ファクトとトゥルースは広義では同じです。しかし、私たちがどこに立つべきなのか、を考えた時にその意味合いにわずかな差が生じる。断言して構わないと思うんだが、この差を眼前にした時に、ビジネスチャンスだと思えなければ、これからの市場で生き抜いていくことなんて不可能になる。私が最も影響を受けたアンディ・リチャードソンが『ソーシャル・アクチュアリティ』と共に訴えていたのが、『リレーションシップ・マインドフルネス』です。関係性によって心を保持することの重要性。あらゆるビジネスの原始にあるものだと。今、既存のメディアと対峙(たいじ/原文ではルビ)していると、この点が歪んでくるのです。誰しも断言されたものに従う方が楽ですからね。そこに刃向かって、別の答えを、自分の体感において提示することが求められているのです。

ウィッチンケア第8号「クリーク・ホールディングス 漆原良彦CEOインタビュー」(P054〜P059)より引用
https://goo.gl/kzPJpT

武田砂鉄さん小誌バックナンバー掲載作品
キレなかったけど、キレたかもしれなかった」(第6号)/「クリーク・ホールディングス 漆原良彦CEOインタビュー」(第7号)
http://amzn.to/1BeVT7Y

Vol.14 Coming! 20240401

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