2017/05/14

vol.8寄稿者&作品紹介14 木村重樹さん

木村重樹さんは今号への寄稿作で、ご自身の専門分野(=<サブカルチャーが具体的な仕事対象>)の込み入った現状を、体験的視座で交通整理することに挑んだのではないか...私はそう思いました。なんだか、読む側の年齢や生活スタイルによって全然解釈が違ってきそうなので、ほんと、いろんな人の感想を聞いてみたいのですが、私としては「ですよね!」と肯くこと、何度もあり。とくにサブカルチャーがサブカルと呼ばれるようになってオタとか萌えとかモテとかと絡めて語られるようになったあたりからもうわけわかりません、って感じでしたから。

短くもない来し方を振り返ってみて、さて何時頃から身の回りに「サブカル」という呼称が出没し始めたんだろう? 90年代に入ってから、のような記憶...でっ、それはかっこいいものとしてそう名付けられていたのか、それともキモいものとして? それより前の時代、たとえば「カーペンターズよりT・レックス」「藤村美樹より竹田かほり」「サザンオールスターズよりP-MODEL」「リチャード・ギアよりジャン=ユーグ・アングラード」「久保田利伸より江戸アケミ」(←いずれも雑な比較)...このくらいまでの時代は、まあ「サブカルチャー」という言葉はあった気もするけど、でも括弧内の前より後の固有名詞に反応する人を「サブカル」呼ばわり、はしていなかったような(すいません、不勉強で)。

<かのインターネット百科事典に、いつのまにか自分の項目ができていた>との一節があり、はい、私も拝読致しました。ご本人が<大きな事実誤認はなさそう>と記しているので、それでの印象ですが、木村さんは本作内でいくと<モテそうな/オシャレなサブカル>の範疇なんだなぁ、と(それは自身の出発点として<「洋楽や洋画、海外文学などの舶来文化とその派生体の中で、マニアックでとんがった領域」、ひいてはそれらに関連するアートやファッション、思想>と書いていることでも)。...すいません、不勉強で。

いずれにしても木村さんのお考えになるサブカル(チャー)について、もっとお話を伺ってみたいです。できれば半袖の季節のうちに、どこかで茶話会みたいなイベントでもできれば、楽しそう。そして私は古いトートバッグに穴があいちゃつたんでイチジクの葉のNERVワッペン貼って使ってますが、それってサブカル?



 ただし(サブカルチャーが具体的な仕事対象だった自分としては)「サブカルでモテモテ」みたいな実感は微塵もなければ、かたやその一方で「オタクとサブカルの鍔つば迫ぜりあい」みたいな事態ともほとんど無関係だったこともたしか。例えばロマン優光は自著の中で、かつて(90年代初頭)〝サブカル〟なる言葉を最初に意識しだした頃、それは「ミーハー的に情報の表層だけをすくっているだけの底の浅いくせに変にスノッブな態度の人、それを使って一目置かれたいだけで実際は大して知識があるわけではないような対象に愛情がない不快な人物」のことを指し示す侮蔑的な言葉だった、と述懐している[*3]。つまり、そこでの〝サブカル〟には侮蔑的なニュアンスが多分に含まれ、どちらかというと『モテキ』や『ボサノヴァ女』に近いイメージだ。

ウィッチンケア第8号<瀕死のサブカルチャー、あるいは「モテとおじさんとサブカル」>(P082〜P087)より引用
https://goo.gl/kzPJpT

木村重樹さん小誌バックナンバー掲載作品
私が通り過ぎていった〝お店〟たち」(第2号&《note版ウィッチンケア文庫》)/「更新期の〝オルタナ〟」(第3号)/『マジカル・プリンテッド・マター 、あるいは、70年代から覗く 「未来のミュージアム」』(第4号)/『ピーター・ガブリエルの「雑誌みたいなアルバム」4枚:雑感』(第5号)/「40年後の〝家出娘たち〟」(第6号)/「映画の中の〝ここではないどこか〟[悪場所篇]」(第7号)

Vol.14 Coming! 20240401

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