2017/05/25

vol.8寄稿者&作品紹介26 須川善行さん

『ことの次第』というご自身もアーティストとして関わったCDについての「ことの次第」について(←ややこしいのでことの次第について把握してから先に進んでくださいねw)ご寄稿くださった須川善行さん。さてその『ことの次第』(1986年にカセットテープでは発売)ですが、現時点でググってみると《とりふね ことの次第CDそろそろ》さんと須川さんの2週間ほどまえのやりとりがヒット...そこには<多分今年出るであろう 再発CD ことの次第>と記してありまして、じつは桜の咲くまえに送っていただいたお原稿には<本当は昨年のうちに「三〇周年エディション」として出したかったのだが、まあ、いろいろありまして……>という一節もあり、なんだかスティーリー・ダン的な最終段階での作業が続いているようであります。

いずれ<アーティスト名は「とりふね+須川善行」、タイトルは『ことの次第』>というアルバムを聞き、あらためて読んでいただければ、と願いますが、しかし、しかし本作は、同アルバムで<編曲・演奏・録音等><(一曲のみ作曲も)>を担当した須川さんの音楽観(→そして実践へ)が溢れ出ていて抜群におもしろい。小誌前々号では間章の「時代の未明から来たるべきものへ」についてのご寄稿だった須川さんの、とりふねさんを介してのポップス論にもなっているのです。

須川さんはとりふねさんの音楽(作詞/作曲/歌唱)を<メロディも耳になじみやすく、歌もうまい>と評しています。しかし本作内には「わかりにくさ」「聴いたことのなさ」といった言葉も頻出。ええと、ロック...とくにニューウェーヴやテクノポップなんかを好んで聞いた人なら、上手な歌手が耳になじむ曲を演ったらそれが即ポップス(※この場合はみんなに受けるポピュラー・ミュージック、みたいな意味)ではなく、逆になんだか訳わからんのだが妙にポップ(ツボにはまる、とかクセになる、に近い?)、みたいなことは体感的にわかると思うのですが(いま私の頭のなかにはサイケデリック・ファーズの「India」の3:40あたりのインディア〜ぁドドドドドドドドが鳴ってます)...あれ、なに説明しようと思ったんだっけ?

須川さんが<万人向けのポップス>と<ターゲットを絞り込んだ音楽>を対立するものとして例に出し、音楽では<その間にこそいろんな可能性が広がっている>と語っている箇所、さらに<こちらとしては全部ひっくるめてポップスのつもり>と表明しているのが、個人的にはぐっときてしまいました。詳しくは、ぜひ小誌を手にとってお確かめください!



 が、あるときふと思い出した。そういえば、この再製作を決心した一〇年前には、この作品が世間の無理解にさらされることはある程度予想していたのだった! 昔のことなのですっかり忘れていた。どうもこの作品には独特の「わかりにくさ」があるらしいのだ。それについて書くことが、逆に『ことの次第』という作品についての説明を果たすことになるかもしれない。
 まず、主に鳴っているのがアナログ・シンセサイザー(コルグのPOLY-800とデルタがメイン)と安っぽいリズムボックス(Dr. Rhythm Graphic)なので、作りはチープな感じに聞こえるだろう。これはそのとおりで、弁解の余地はない。デッキが4チャンネルのカセットではなく、オープンだったのがせめてものこだわりなくらいである。だが、こちらの狙いは、それでも面白い音楽が作れるのではないかということなので、それがイヤな方は、どうぞウェルメイドなJ-POPや洋楽をお聴きくださいとしかいいようがない。

ウィッチンケア第8号<『ことの次第』の次第>(P158〜P163)より引用
https://goo.gl/kzPJpT

須川善行さん小誌バックナンバー掲載作品
死者と語らう悪徳について 間章『時代の未明から来たるべきものへ』「編集ノート」へのあとがき>(第6号)
http://amzn.to/1BeVT7Y

Vol.14 Coming! 20240401

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