2015/05/12

vol.6寄稿者&作品紹介11 中野純さん

4月上旬、中野純さんナビゲートの「石巻・牧山ムーンライトウォーク」に参加してきました。これは東日本大震災後の石巻再興を応援する「一般社団法人ISHINOMAKI2.0」と「一箱本送り隊」の共同プロジェクト「石巻 まちの本棚」が主宰したイベントの一環としておこなわれた夜歩き会(!?)。...私は30代半ばまでは自称・夜の帝王(自称)だったのですがだんだん<宵っ張りしたぶん翌日に影響>体質が強くなり、気がつけばすっかり<夜は寝る時間>に。そんなわけで夜や闇への感受性も鈍りまくっていましたが、ひさしぶりに暗い体験をして、認識を改めること多々ありました。

ハッとしたのは、暗闇では赤よりも青や緑のほうが月明かりでは鮮やかに見えるというのをリアル体験したこと。レポート内にもありますが、懐中電灯をあてるまでは存在に気づかなかった満開のツバキの真っ赤さ。私は「ということは暗闇で綾波レイとすれ違うと目より髪の毛が恐いかも」みたいな戯けた感想を言っていましたが、じつはかなり感動していました。闇の魅力について再認識したいかたは、ぜひ中野さんの著書『「闇学」入門』を!

小誌今号での中野さんは「文による芸」にこだわった作品を寄稿してくださいました。実用的な組紐で結び紐をつくったり一人あやとりをしてみせたり、のような感じ? 「文章は短く、簡潔に」というようなことがビジネスシーンなどではよく言われますが、ウィッチンケアはビジネスから遠く離れた媒体なので大歓迎です! しかし約4000文字が読点はあるものの句点なくひと連なりだと、ページのぱっと見も壮観。小骨ごとじっくり料理した、鰊の甘露煮的な味わいの作品です。

そして、この「つぶやかなかったこと」と題された作品から浮かび上がってくる中野さんの意外な一面...なんだかけっこう現在進行形の芸能界ネタに強い!? また下記引用にはありませんが<アナ雪を見ておもしろいと思ったのは、その3Dアニメの質感がとてもディズニーランドやディズニーシーっぽいと感じたことで、本来、ディズニーランドやシーは、ディズニーアニメの世界を現実空間につくったものなわけだが、アナ雪は逆に、ディズニーランドやシーの世界をアニメにしたものだと感じられ>という視点。私は最近コンビニで売ってるスパゲティやサラダを見ると「まるでCMで映ってるののオモチャみたいだ」と感じます。きっと食べてもオモチャみたいな味!?



<前略>今はいろんな果物や野菜をミックスした複雑な味のジュースが売られているので、それをいろいろ買ってきて、部屋を真っ暗にして飲んで、なんのジュースか当てる「闇飲み」という遊びを推奨しているのだが、この前、「ローラの中のバングラディシュ味と日本味とロシア味を分別するように、混合した味の中からひとつひとつの味を分別して見つけていくのは楽しい」と書いたら「ローラ」を「コーラ」に直されていて、そのコーラを飲みたくなったし、老後は『王家の紋章』を心ゆくまで読んで暮らしたいと思っているのに、見知らぬ人とくっついて座るのが動物的にイヤなので、電車の七人掛け座席が大嫌いで、あれはゆったり座ろうとすると四人掛けになるから、私にとっては実質四人掛けで、以前は六人でゆったり座れたというのに、七人掛けになって逆に二人分、席数が減った感があるわけで、とはいえ、七人掛けの狭い座席がひとつ空いたとき、その狭い幅を意識しながら座るおっちゃんが、まるで熱い湯に浸かるようにじんわり腰を落としていくさまは、意外に風情があって好きだったりもして、そんな話はまあいいんだけど、セシウム137の半減期と同様に、危機感の半減期も三十年でお願いしたいし、全然潜入じゃないのになんでもかんでも潜入って言うの、もうやめてほしいし、声高に「現実を直視しろ」と批判する人たちに「少しは夢を直視しろ」と言いたいし、多くの人が丁寧に考えた末に自粛してきた物事をあんまり甘く見ないでほしいわけで、そういう丁寧な気持ちでSNSをやってほしいし、「オマージュ」と「おまんじゅう」の響きが似ているのは、ちょっと「プッ」ってなってしまうので困るが<後略>

ウィッチンケア第6号「つぶやかなかったこと」(P070〜P075)より引用
http://yoichijerry.tumblr.com/post/115274087373/6-2015-4-1

cf.
十五年前のつぶやき」/「美しく暗い未来のために」/「天の蛇腹(部分)」/「自宅ミュージアムのすゝめ

Vol.9 Coming! 20180401

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